<<SGH>> 世界の問題提起講義
       「EUの移民・難民問題と国際社会」
5月9日(火)、1年生を対象に高崎経済大学准教授土谷岳史先生より『EUの移民・難民問題と国際社会』というテーマで講義をしていただきました。

 
 まずは、EUを理解するために国家体制の歴史を説明していただきました。17世紀にそれぞれの国家がそれぞれに主権を持ち、自国内の事を自国で決める権利を持つ、という考え方が生まれ、18世紀のフランス革命にみられるように、絶対王政に対する批判として君主に代わって国民が主権者の位置につくことにより形成された「国民国家体制」の説明がありました。そして、現在、世界のほとんどの国は、行動基準やものさしが自国の中にあり、条約や法的手続きを踏んで、バランスを取っているということでした。特に、EUは、出入国審査なしで国境を自由に往来できることを定めたシェンゲン協定などを結んでいます。そして、独特な経済的および政治的協力関係を持つ民主主義国家の集まりであるとともにその主権の一部を他の機構に譲るという、世界で他に類を見ない仕組みに基づく共同体を作っているとのことでした。上記を踏まえたうえで、2015年の「難民危機」の内容となり、生徒に「移民と難民との違いは何か」と質問を投げかけていただきました。
 「移民」はより良い生活を求めて身勝手に移動していると思われがちでしたが、今回のシリアなどにおける紛争で、生活していくのが困難であったり、死に至る危険性が増した結果祖国を離れたことにより、「難民」と呼ばれるようになり、人々の理解が変わっていったということでした。また、EUと日本における受け入れの現状なども説明していただきました。これから1学年全員で取り組むディベートの論題を設定していくなかで、日本のとっている政策を知る機会ともなりました。