3年理系オナー 被災地研修
5月14日(月)~5月15日(火)にかけ、3年理系オナーが東日本大震災で被災した地域で研修を行いました。

 
 このプログラムを開始して4年目となります。決して他人事ではなくなった大地震や原発事故を受け、街をどう復旧していくのか、そして将来の街をどうつくっていくのかを考えなければいけない時代となり、実際に被災した地域に赴き、その地を視察して一人ひとり自ら考える機会を設けることを目的としています。
□1日目
 ☆久ノ浜方面視察
 語り部さんにバスに乗っていただきガイドをして頂きながら視察しました。津波による被害を受け、新たに作った堤防や、津波による被害を抑える工夫など話がされています。
 港の製氷工場、造船工場も津波にやられたようです。復興にも多額の費用がかかり、ご苦労されている実態があるようです。家が流された土地に所有者の番号が提示されています。そこも家が建たず更地のままというところが少なからずあります。
 人や街を守る防災緑地です。こちらはそのためばかりでなく、地域の人々の交流の場としての役目もあります。特に高齢者は、大津波を経験しても、生まれ育った街の波音が心の拠り所になります。津波に流されなかった秋葉神社は地域の人の心の支えであり、地域の人みんなで維持しています。
 ☆いわき市地域防災交流センター久之浜・大久ふれあい館見学
 平成28年3月13日、いわき市に地域防災交流センターが落成しました。この中には地震により家屋が倒壊し、津波の被害を受け避難してきたときの様子が展示され、また大津波の様子が動画で提示されていました。避難生活を余儀なくされた人たちは、誰彼ということなく進んで役目を見つけ、みんなのために力を合わせて避難生活を乗り切り、いつしか一つの家族のようになっていったそうです。
 ☆原子力機構楢葉遠隔技術開発センター見学
 原子力機構楢葉遠隔技術開発センターは福島第一原発廃炉等のために設けられた施設で、ロボット等遠隔操作の開発・実証試験を行う目的があります。そのためのVR機器と実証実験を行う施設を持っており、今回その中を見学させていただきました。ここでは委員長がお礼の言葉を述べました。
 ☆福島県立ふたば未来学園高等学校訪問
 ふたば未来学園高等学校を訪問しました。こちらは休校中の双葉郡の高等学校に替わり、2015年に開校した高校で、SGHに指定されており、学校全体で地域社会の課題を総合学習を通じて取り組んでいる学校のようです。今回、社会起業部の生徒と交流をすることができました。最初にアイスブレイクで仲良くなり、続いて両校とも学校紹介とSGH事業の紹介をしました。本校は特に1年次に足利大学と連携して行ったソーラークッカー制作を中心とする自然エネルギー問題についての取り組みを紹介しました。続いて各グループでフリートークを行い、身近な問題についての案を出し合い、発表しました。
□2日目
 ☆富岡町方面視察
 富岡町3.11を語る会の語り部さんにお願いし、案内して頂きました。富岡町の駅舎は流されましたが、「富岡駅」という駅の看板だけは曲がらず、それが人々の心を支えていたようです。3年前に訪れた、女川町の希望の鐘商店街の、流されなかった鐘と通ずるところがあります。この街は津波の被害は少なかったようですが、あくる日から原発事故の関係でいまだに避難生活を余儀なくされている街です。
 休校中の富岡高校です。帰宅困難地域の解除されても、人々が戻ってこない為休校を余儀なくされています。寂しい以外に言葉が見つかりません。机や床に教科書が散乱したまま避難を余儀なくされ、4年後に撮影された様子です。この地域に立ち入りができなかった為、4年間この状態が続いてたわけです。それでも富岡高校の卒業生は、いつしか復校することを信じ、卒業生みんなの手形で「復校」の文字をかたどりました。
 街中は、家が建っていても草が生えていたり、信号も点滅していても工事車輌のみとか、生活感がありません。1~2年ならば戻れるときを待ち望めたでしょうが、4~5年すると避難先での新たな友達やつながりができ、元の町に戻ることは難しく、戻るには時が経ち過ぎていたようです。
 帰還困難区域も幹線道路は除染により制限的に通過できました。放射性廃棄物置場になっていたり様々な店舗も営業中のまま避難し、そのまま廃墟となってしまっています。
 ☆東京電力広野火力発電所見学
 最後の見学地、広野火力発電所の見学です。1~4号機は石油で、5~6号機は石炭で発電しています。敷地内のプラントも見学させていただきました。